「空気伝播音」と「固体伝播音」


「空気伝播音」と「固体伝播音」


音は、振動の伝わる経緯により、「空気伝搬音」「固体伝搬音」
主に2種類に区別されます。


「空気伝播音」とは文字どおり、空気を媒体として伝播する音の事です。
例えば部屋に置いたテレビ等から、部屋の中の人に伝わってくる音等が
これにあたります。



「固体伝播音」とは建物の構造に伝わった衝撃による振動が、
伝播した先の壁・天井・床を振動させ、音となって現れるものです。

糸電話の様に建物の構造が震える事により、隣の部屋や上下の階は
もちろんの事、マンションの斜め上下など、直接面していない離れた
部屋にも音が伝わります。



少し分かり難いですが、例えば同じ楽器でも、「ピアノ」等は床に設置され
密着しているため、「固体伝播」で伝わる事が多く、
(ピアノの弦から直接空気中に出る空気伝播音もあります)

「トランペット」等は、ほぼ「空気伝播」で音が伝わります。


DIYの防音では大体の場合、両方の要素がありますが、どちらが主かによって
対処法が変わってきますので、まずはお悩みの音がどういう経緯で伝わるのかを
つかむことが重要になります。



「密度[kg/m3]」



「密 度」


「密度」とは、当店の多くの商品では、材料等の体積当たりの質量(重量)の事をいいます。

グラスウール・ロックウール等の吸音断熱材は、
密度の単位を「kg/m³」(=略してKと表示)で表しますが、
これは「/」の後の1m³あたりが何kgの重さになるかという意味です。

(※防音マット等の面積当たりの密度の場合は「面密度」と言います)


グラスウール・ロックウールは綿のような素材になり、完全な均一な
物ではないので、密度=平均密度または標準密度となります。



例えばこちらの商品で考えてみます。

   防音シート

   ロックウール 密度150K
   1枚のサイズ:厚さ25mm×縦910mm×横605mm



同じ密度のロックウールで、縦1m×横1m×高さ1mの物があるとすれば、
重さが150kgあるという意味になります。


数字だけを見ると相当に重そうに感じますが、実際の1枚の重さを計算すると、
サイズは「25mm×910mm×605mm」になりますので
「m(メートル)」に直し下記の計算となります。

[厚さ]0.025m×[縦]0.91m×[横]0.605m×[密度]150=2.06kg/1枚あたり


密度が150Kや200Kとはいっても、商品が何100キロもあるわけでは
ありませんのでご安心下さい。


また多くの遮音材の場合、この「密度」が高いほど遮音性能が高くなります。

(※詳しくは「質量則」の項目を参照)



「質量則 (しつりょうそく)」



「質量則(しつりょうそく)」


壁などの素材が高密度で質量が重ければ重いほど、
音を遮る遮音性能(透過損失)が高く、周波数が高い音ほど
遮音されやすい法則の事を「質量則」(しつりょうそく)といいます。

とても重い、鉛遮音材が絶大な防音性能を持つのはこれが主な理由です。
もちろん厚みが厚ければ厚いほど、重量も増しますので
高い効果を発揮します。

   防音シート


グラスウール・ロックウールの高密度品ほど遮音性能が高いのも、
この理由が主です。この2点は遮音だけでなく、高い吸音性能も
持ちますので防音工事には欠かせない材料です。

   グラスウール高密度品    ロックウール高密度品

(※いずれも重いほど高性能ですが、価格も高くなります)



「石膏ボード」も、安くて非常に重量のある材料なので、この観点から言えば
非常にコストパフォーマンスの高い材料と言えます
(通常の石膏ボードであれば数百円で買えます。遮音のみだけでなく耐火性能にも優れます)。


よくお客様からのお問い合わせで「吸音スポンジを貼り音を漏らさないようにする」、
と言う様なお話しをききますが、この質量則の理論と照らし合わせると
ほぼ間違いと言えます。
(室内での反響音の吸音と遮音を間違えられている場合がほとんどです)

ある程度の重さがあればそれも可能かもしれませんが、スポンジでは
重量があまりにも軽すぎ、吸音はするものの、遮音にはほぼ効果がありません。
(もちろん厳密に言えば無いよりはましですが)


ただ、マンション等の構造によっては重量のある壁でも、縁が切られてない
事で、充分に防音性能を発揮しない場合もあります。

質量則とは、あくまでも「重い方が大きな音のエネルギーを止めるのに効果的である」という
防音の要素の一つとなります。



「周波数[Hz]」



「周波数[Hz]」


音の「周波数」とは,一秒間に圧力変化のサイクル(圧力の上昇・下降のパ ターン)が
何回繰り返されるかを表わしたものです。

単位はヘルツ(記号 Hz)で、周波数が大きいと高い音、周波数が小さいと
低い音になります。

そのうち、人が実際に聞くことのできる音の範囲は20〜20000Hzと言われます。

一般的には高音に比べ低音になるほど、吸音しにくくなります。



「コインシデンス効果」



「コインシデンス効果」


ほとんどの住宅の壁には「石膏ボード」や「合板」が使われていますが、
ある周波数で音波が入射したとき、その素材の「屈曲振動(弾性や慣性)」と
入射音波の振動とが一致し、音と素材が共振状態を起こします。

共振することで、まるでそこに壁が無いかの様に、音がそのまま
通り抜けてしまう、とても困った現象を「コインシデンス効果」と呼びます。


同一素材のみで壁を作る場合、それがどれだけ厚くても、まとめて
共振してしまい、上記の現象が起きてしまいますので、防音工事の際は
注意が必要です。

そうならないための対策としては、異なる素材の組み合わせで壁を作る事です。
その対策に、一番お手軽なのは「遮音シート(防音シート)」です。

   防音シート



石膏ボードと遮音シートでは共振する周波数帯が異なるため、異素材を組み合わせる
事で、互いにそれを補う事ができます
(もちろんそれだけではなく、遮音シート単体による遮音性能の向上も期待できます)。


また同じ素材でも厚みが異なれば、素材の屈曲振動に若干変化が生まれますので、
例えば「厚さ9.5mmの石膏ボード」+「厚さ12.5mmの石膏ボード」という組み合わせでも
同じ厚さの物を2枚よりは、幅広い周波数で見ると遮音性能性能が高くなります。
(細かく言えば張り合わせ方も重要です)


逆に、トータルの厚みは厚くても、周波数によって下記の様な現象も起こります。

総合的な遮音性能:  12.5+12.5mm < 12.5+9.5mm


下記の鉛複合板(石膏+鉛)異素材の複合板等も、コインシデンス効果の
対策には効果大です。

   コインシデンス効果を考慮した防音壁の施工例



防音シート


※上記の図は、ほんの1例になりますので、様々な方法がございます。
  ご不明な点がありましたらお問い合わせ下さい。



「石膏ボード」




「石膏ボード」



室内の壁・天井に最も多く使われている建築材料で、クロス(壁紙)張り、ペイント塗装の
下地材として使われています。


代表的なメーカーに吉野石膏株式会社があります(日本の製品はほぼ吉野石膏製です)。




吉野石膏 タイガーボード 







石膏ボードは、有効な遮音性能を発揮する遮音壁の材料として、ホテル、マンション、

病院などの壁に広く使われています。





また、施工性にも優れており、切断、釘打ち、ビス留め、接着工法とも簡単で、
切断は特殊な道具は必要なくず、普通のカッターナイフで簡単に切断できます。





商品のサイズが大きく重いため、当店のネットショップ経由では販売できませんが
日本全国のホームセンターで取扱いがありますので、本格的な防音工事にはできるだけ
多く使って頂きたい材料です。
(価格が安価でコストパフォーマンスに優れた遮音材です)










「鉛遮音材」



「鉛遮音材」


「鉛」でできた遮音材で、非常に強力な防音が可能な材料です。

遮音材の性能は、密度が大きいほど高くなります(質量則)。従って、鉛に比較して
密度の小さい他の遮音材の場合、鉛に匹敵する遮音性能を得るためには、
数倍以上の厚さが必要となります。

(例. 鉛1cm = 杉板31cm = コンクリート5cm)


鉛は弾性率が低く、他の素材に見られるコインシデンス効果(特定の周波数に
対する共振現象)が発生しづらいため、忠実に質量則に従って、遮音特性が
安定しているのも大きな特長です。

また、柔軟性も高い金属になりますので、振動エネルギーを良く吸収するため、
振動絶縁、制振に最適な素材です。


鉛遮音材



「グラスウール」



「グラスウール」(吸音・断熱・遮音補強材)


グラスウールは、ガラスを高温で溶かし、綿状に繊維化したものにバインダー(接着剤)混ぜ、
熱して押し固め製造された吸音・断熱材です。

グラスウールは内部に連続した無数の空気室をもつ多孔質材料で、グラスウールに
入射した音のエネルギーが、内部の細かい空気室に伝わる事で、ガラス繊維や空気を振動させ、
音のエネルギーを熱エネルギーに変換します。この原理によりグラスウールは低音域から
高音域まで優れた吸音性を発揮します。


また、遮音材である、石膏ボードや遮音シート等と複合構造にして遮音性能を向上させる
「遮音補強」に使用することができます。

石膏ボードとの組み合わせは、日本を代表する石膏ボードメーカー「吉野石膏」の
高性能遮音壁の標準仕様にも組み込まれています。

スタジオの吸音材、ホテル等の高い遮音性を求められる高性能遮音壁、
大音量の映画館で劇場と通路との間仕切壁、劇場どうしの間仕切壁など
様々な場所で使われています。


[グラスウール/ボードタイプ]  [グラスウール/ロールタイプ]  [グラスウール/パック入りタイプ]



※人造鉱物繊維断熱材である「グラスウール」は、高い発ガン性を持つ
「アスベスト(天然鉱物繊維)」 とは全く異なるものなのでご安心下さい。

[グラスウールの安全性についてはこちら]



「ロックウール」



「ロックウール」(吸音・断熱・遮音補強材)


「ロックウール」は製鉄の副産物である高炉スラグや天然の岩石(玄武岩)原料とした、
繊維系断熱材です。それらを高温で溶かして遠心力で繊維状にし、均質化して
マットやボードに 成型加工されています。


ロックウールは優れた断熱性能・防音性能を持っています。

ロックウールが作り出す内部の「空気の壁」が音のエネルギーをしっかりと吸収して、テレビや
オーディオなどの音の室外漏れを軽減します。


人間が最も感じやすい音の周波数域と言われる250Hz〜2.0KHzを中心に、ロックウールを
充填した壁はほぼすべての音域で遮音性に優れています。


[ロックウール/ボードタイプ]  [ロックウール/ロールタイプ]  [ロックウール/パック入りタイプ]



※人造鉱物繊維断熱材である「ロックウール」は、高い発ガン性を持つ
「アスベスト(天然鉱物繊維)」 とは全く異なるものなのでご安心下さい。

[ロックウールの安全性についてはこちら]



「浮き床構造」



「浮き床構造」


コンクリートスラブなど、建物の基礎になる床の上に緩衝材を
挟んだ形でもう一層の床を作り、振動による音を伝わり難くする
構造を「浮き床」(または浮き構造)といいます。

音は、空気中を伝わる「空気伝播音」と、建物の構造等を伝わる
「固体伝播音」の、主に2種類で伝わります。


後者「固体伝播音」の場合、糸電話の様に建物が震える事で、隣の部屋や
上下階はもちろんの事、マンション等の斜め上下など、直接面さない離れた
部屋にも音が伝わっていきます。


床が水に浮いたような状態が、音を伝えない理想の構造ですが、実際にはほとんど
不可能なので「高密度グラスウール」「高密度ロックウール」等の緩衝材を使い、
基礎の床と、部屋の床の縁を切る構造を作ります。

   グラスウール 密度96K  ロックウール 密度200K


その際、緩衝材の上のパネルの端を、建物の壁際に直接突き付けたり、一部でも緩衝材を
挟まずに、直に当たる部分ができてしまうと、その部分から振動により音が伝わってしまい、

効果が激減します。この現象を音漏れのかけ橋の様な意味で、「サウンドブリッジ」と呼び、
浮床の施工では、できるだけこれを作らない様にする事が重要です。


何百万以上のお金をかける、本格的な防音工事の場合は、専用のグラスウール等の緩衝材
の上に防水シートを貼り、直接コンクリートを流し込み、コンクリートが緩衝材の上に
乗った構造を作ります。

ただ、DIYの防音工事の場合、コンクリートを流す様な大掛かりにはできませんので、
下記の図の様に、パーチクルボードや厚手のコンパネ等をその代用にし、簡易的な浮床構造を
つくる事で、建物の構造に振動による音を伝わり難くします。

図の様に、壁との間にも緩衝材を挟み、上記同様にサウンドブリッジをできるだけ
作らない様にするのがポイントです。





DIYといっても若干大掛かりな施工となると思いますので、具体的な施工方法など、
お分かりにならないことがあれば何でもご相談下さい。



「四周処理工法」



「四周処理工法」


遮音性能を確保するために、防音壁の施工に際しては、周囲の取り合い部
(上下左右の端部)の隙間を埋める事をすなわち「四周処理」といいます。

普通のコーキングでも可能ですが、より確実に遮音性能を高めるには
下記の様な専用品が理想です。

   気密遮音コーキング    タイガー ジプタイト


また、壁に遮音シートを貼り付ける際も重要になります。
(貼り方を工夫したり、遮音テープでも四周処理できます)

   遮音テープ


四周の隙間から隣室に音が漏れてしまう場合がありますので、できるだけ
隙間を作らない様に施工して下さい。



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